異常Q波の心電図結果は、精密検査を受けた方がいいの?
2021年12月23日
本記事は、下記関連ページの、続きとして記載しました。ご興味のある方は、是非、最初から読んでみて下さいね。
関連ページ: | ・心電図の異常は、何科に行けばいいの? |
異常Q波 心電図の波形異常で、クリニック受診前の確認項目
健康診断などの心電図検査で、異常Q波の指摘を受け、精密検査を受けた方がいいの?原因は?とご心配の方は、循環器科、循環器内科を標榜するクリニックや病院受診が推奨されます。
また、クリニックに所属する医師の経歴や所属学会を、チェックしてからの受診をお勧めします。医師の専門としているジャンルを、知る事が出来るからです。
クリニックのWEBページにて、医師のプロフィールを確認する事ができます。WEBページのないクリニックでも、看板をみると、専門医などが掲示されている場合あります。
医師プロフィールに、下記表記されているかチェックしましょう。
- ●●心血管(インターベンション)学会 専門医 / 認定医 / 所属
- ⇒ 心臓病の中でも、とくに狭心症や心筋梗塞を得意としている事を示しています。
- ▲▲循環器学会 専門医 / 認定医 / 所属 ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
- ■■心臓病学会 専門医 / 認定医 / 所属 ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
狭心症や心筋梗塞を、得意とする先生の診察を受けると、精密検査の計画や、検査後の治療方針決定がスムーズとなります。
しかし、必ずしも、そこで全て解決する訳ではありません。より高度な医療機器を持っていて、高度医療に対応可能な総合病院などへ、紹介受診が必要となる場合もあります。
プロフィールに表記のある医師は、専門ジャンルの病気に詳しいため、総合病院の専門の先生とコミュニケーションをとり、紹介受診がスムーズに進む可能性が高くなります。
クリニック受診前に、希望医師の診察予約が可能かどうか、電話されるとスムーズです。
関連ページ: | スタッフ紹介 |
異常Q波 心電図検査の異常で、考慮される外来精密検査
異常Q波にて、考慮される外来精密検査は、以下となります。
- 安静心電図検査(あんせいしんでんずけんさ)
- 心臓超音波検査(しんぞうちょうおんぱけんさ)
- 冠動脈造影CT検査(かんどうみゃくぞうえいCTけんさ)
- 運動負荷心電図検査(うんどうふかしんでんずけんさ)
- 血液検査(けつえきけんさ)
- 【入院】心臓カテーテル検査(しんぞうかてーてるけんさ)
これらの検査、全てが必要という事ではありません。方法こそ違いますが、調べている内容はほとんど同じ、といった検査も記載しています。
また、心臓を詳しく調べる精密検査は、他にも色々あります。
症状や、背景(年齢、生活習慣、持病、etc.)、医師の診察によって、推奨される検査は変わってきます。
安静心電図検査
- 所要時間: 1分程度
- 自己負担額: 約130円 ~ 400円(自己負担割合によります)
健診などでやったのにもう一回?と思うかもしれません。
前回検査からの変化や、再現性の有無をチェックするため、異なるタイミングで検査します。検査当日に、結果説明が可能となります。
心臓超音波検査
- 所要時間: 20分程度
- 自己負担額: 約880円 ~ 2,800円(自己負担割合によります)
テレビ番組やコマーシャルで、お腹の赤ちゃんを、お医者さんと妊婦さんが、超音波検査で確認している場面をご覧になったことがありますか?
左胸に同じ原理の機器をあてることで、心臓のポンプ機能、筋肉の状態や、心臓の血流を制御する弁機能、etc.を、動画で確認する事が出来ます。
体に害がなく、安全に行う事が出来る検査です。所要時間は20分程度です。検査当日に、結果説明が可能です。
冠動脈造影CT検査
- 所要時間: 20分程度
- 自己負担額: 約3,000円 ~ 9,200円(自己負担割合によります)
冠動脈(冠動脈)という心臓を栄養する血管が詰まっていないか?狭くなっていないか?を調べる検査です。
造影剤を点滴注射しながら、CTを撮影します。造影剤が腎臓に負担をかけるため、腎臓機能が悪い、息を30秒程度止めることができないetc.で、検査できない場合もあります。
CTの撮影自体は20分程度ですが、解析に時間を必要とするため、検査当日に結果を聞かれる場合、前後の点滴注射も含めて、3時間程度かかります。
運動負荷心電図検査
- 所要時間: 30分程度
- 自己負担額: 約380円 ~ 1200円(自己負担割合によります)
運動することにより心臓に負担をかけて、心電図波形の変化や、不整脈の出現がないかをチェックします。
心電図をつけたまま、ルームランナーで走ったり、エアロバイクをこいだり、踏み台昇降運動の前後で心電図をとったりします。 検査当日に、結果説明が可能です。
※激しい息切れが生じる事があり、コロナ禍の現在、当院では運動負荷心電図検査を中止しています。
血液検査
- 所要時間: 3分程度
- 自己負担額: 約1,200円 ~ 3,600円(自己負担割合によります)
採血により血液を調べます。貧血などが原因で脈が速くなる事があります。電解質異常や、甲状腺ホルモン分泌異常などで、不整脈がでやすくなる事も知られています。
これらの項目を、血液検査でチェックする事ができます。また心臓への負担のかかり具合を、チェックできる検査項目もあります。
結果説明まで、当日 ~ 1週間程度後と血液検査項目により幅があります。
【入院】心臓カテーテル検査
医師の診察や、外来精密検査の結果、また症状により外来精密検査を経ずに、心臓カテーテル検査が必要となる事があります。
心臓カテーテル検査は、入院検査としているクリニックや病院が多く、当院でも入院検査となります。
心臓を栄養している血管が、狭くなっていないか?、詰まっていないか?を外来検査以上に、精密に調べることが出来ます。
医療用の細い管をカテーテルと呼びます。手首、肘、足など体の表面に近い部分を走っている動脈に、局所麻酔を用いてカテーテルを挿入し、心臓まで直接カテーテルを送り込んで、選択的に血管を造影します。
関連ページ: | 狭心症、心筋梗塞のカテーテル検査・治療 |
補足
- 所要時間は、検査のおおよその時間となります。(ご説明、前後のお待ち頂く時間は含めません)
- 自己負担額は、検査のみの目安となります。(診察、お薬の自己負担額etc.は含まれません。制度変更に伴い、変わる事があります。)
- 各病院やクリニックの診療体制にもよります。
関連ページ: | 検査について |
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異常Q波 心電図の波形異常で考えられる原因や病気など
心電図所見 異常Q波では、以下の原因、病気や状態が考えられます。
- 心筋梗塞
- 陳旧性心筋梗塞
- 心筋症
- 健常者
- etc.
・心筋梗塞
冠動脈という心臓の栄養血管が、閉塞したり、狭くなる病気です。心不全や、突然死の原因となります。心電図検査にて、異常Q波が確認される事があります。
・陳旧性心筋梗塞
過去に心筋梗塞を起こしたことがある方は、心電図検査にて、異常Q波が確認される事があります。
・心筋症
心臓は主に筋肉で構成されており、ポンプの役割を担っています。心臓の筋肉異常が生じる病気です。左心室の筋肉が薄くなり、収縮能が低下する拡張型心筋症、一部または全部が分厚くなる肥大型心筋症や、などが知られています。心不全や、突然死の原因となります。心電図上、異常Q波が出現する場合があります。
・健常者
特に基礎疾患(含心臓疾患)を有さない方にも、心電図所見 異常Q波を認める事があります。
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生活習慣病とは? |
ここからは、少し難しい話かもしれません。ご興味のある方は読み進めて下さいね。
心電図異常 異常Q波は、心電図波形の異常となります。
正常でも、心室中隔の脱分極を反映した、幅の狭い小さなQ波を認めます。
多くはⅠ, aVL, V5, V6誘導でみられます。Q波が、Q波幅 ≧ 0.04秒(1.0mm)、またはQ波の深さがR波高の1/4以上の時、異常Q波とされます。
判断時の注意点としては、通常aVR誘導はQS型またはQr型のQRS波形を示すため、幅の広いQ波は正常とされます。
Ⅲ誘導も、健常な方でQS型、またはQr型波形を示すことが多く、ⅡまたはaVF誘導に異常が無ければ、異常Q波とはされません。
aVL誘導は、健常な方でも小さなQ波を認め、Q波の深さがR波高の1/2以上の時のみ、異常Q波とされます。心筋梗塞が、異常Q波を示すことはよく知られています。
心筋梗塞の診断だけでなく、心筋梗塞領域(範囲)の推定にも利用されます。しかし、心筋梗塞以外の疾患にもみられ、肥大型心筋症は異常Q波を時々示します。
異常Q波に関しては、以上となります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
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心電図検査全般や、正常所見につきましては、別ページをご参照ください。
投稿者:医師、医学博士 吉川