【房室ブロック 心電図異常】から考慮される外来精密検査

2021年02月20日


本記事は、下記関連ページの続きとして、記載しました。ご興味のある方は、是非、最初から読んでみて下さいね。

関連ページ: 心電図検査の異常は、何科に行けばいいの?

 

房室ブロックには下記等の種類があり、症状などによりますが、一般的には下に行くほど重症とされます。

  • 1度房室ブロック
  • 2度房室ブロック(Wenckebach ウェンケバッハ)
  • 2度房室ブロック(Mobitz モビッツ)
  • 2度房室ブロック(2:1)
  • 完全房室ブロック

 

房室ブロックの心電図異常で、クリニック受診前の確認項目

心電図検査を受けられた、医療機関、健診センターより、緊急指示があった場合は、その指示に従って下さいね。

 

クリニックに所属する医師の、経歴や履歴をチェックしてからの受診をお勧めします。医師の得意とする、専門分野を知る事が出来るからです。

 

クリニックのWebサイトで、医師の経歴や履歴を確認する事ができます。Webサイトのないクリニックでも、看板に専門医などが掲示されている場合あります。

 

クリニック受診前に、希望医師の診察予約が可能かどうか、電話されるとスムーズです。

 

医師プロフィールに、下記表記されているかチェックしましょう。

 

  • ■■不整脈(心電図)学会 専門医 / 認定医 / 所属
  •     ⇒ 心臓病の中でも、とくに不整脈を得意としている事を示しています。

 

  • ●●循環器学会 専門医 / 認定医 / 所属 ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
  • ▲▲心臓病学会 専門医 / 認定医 / 所属 ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。

 

不整脈を得意とする先生の診察を受けると、追加精密検査の計画や、治療方針の決定がスムーズとなります。

 

しかし、全てが必ずしも解決される訳ではありません。診察や追加検査結果より、より高度な医療機器を有していて、高度医療に対応可能な総合病院などへ、紹介受診が必要となる場合もあります。

 

経歴にこれらの表記がある医師は、専門ジャンルの病気に詳しいだけでなく、高度医療機関(総合病院など)の専門の先生とコミュニケーションをとり、紹介受診がスムーズとなります。

 

関連ページ: スタッフ紹介

 

房室ブロック 心電図異常で、考慮される精密検査

房室ブロックで、考慮される精密検査は、以下となります。

  • 安静心電図検査(あんせいしんでんずけんさ)
  • ホルター心電図検査(ほるたーしんでんずけんさ)
  • 心臓超音波検査(しんぞうちょうおんぱけんさ)
  • 血液検査(けつえきけんさ)

リストにある検査、全てが必要という訳ではありません。またこれら以外にも、心臓を詳しく調べる精密検査は色々あります。

症状や、背景(年齢、生活習慣、持病、etc.)、医師の診察によって、必要となる検査は変わります。

 

安静心電図検査

  • 所要時間: 1分程度
  • 自己負担額: 約130円 ~ 400円(自己負担割合によります)

 

健診などでやったのに、もう一度?と思われるかもしれません。

 

タイミングを変えて、再度行う事により、前回検査からの変化や、再現性の有無をチェックします。検査当日に、結果説明が可能となります。

 

ホルター心電図検査

  • 所要時間: 1日程度
  • 自己負担額: 約1,750円 ~ 5,400円(自己負担割合によります)

 

24時間(最低8時間以上)心電図を装着、記録します。装着中、激しい運動や、汗だくとなるようなお仕事は出来ません。

 

お風呂に関しては、湯舟につかるのは難しいですが、シャワーまでは可能な機種もあります。

 

脈がゆっくりになりすぎていないか?、逆に脈が速くなりすぎていないか?、24時間で不整脈がどれ位でているのか?、じつは危ないな不整脈がでていないか?、波形が変化があるのか?、etc.をチェックします。

 

24時間分を解析するため、検査機器のご返却後、結果説明まで2~3日かかります。

 

心臓超音波検査

  • 所要時間: 20分程度
  • 自己負担額: 約880円 ~ 2,800円(自己負担割合によります)

 

テレビCM等々で、お医者さんと妊婦さんが、お腹にいる赤ちゃんを超音波検査で確認している場面をご覧になったことがありますか?

 

同じように、超音波の原理を利用した機器を、左胸にあてると、心臓の筋肉の状態や、ポンプとしての機能、弁(心臓の血流を制御する構造)機能、etc.を、動画で確認する事が出来ます。

 

体に害なく、安全に行う事が出来る検査です。所要時間は20分程度です。検査当日に、結果説明が可能です。

 

血液検査

  • 所要時間: 3分程度
  • 自己負担額: 約1,200 ~ 3,600円(自己負担割合によります)

 

採血した血液を調べます。甲状腺ホルモン分泌異常や電解質の異常などで、不整脈がでやすくなる事があります。貧血などが原因で脈が速くなる事もあります。

 

こういった項目を、採血+血液検査で調べる事ができます。また、検査項目の中に、心臓への負担のかかり具合を、調べるものもあります。

 

結果説明まで、当日 ~ 1週間程度後と血液検査項目により幅があります。

 

補足

  • 所要時間は、検査のみの時間となります。(ご説明、前後のお待ち頂く時間は含めません)
  • 自己負担額は、検査のみの概算となります。(医師診察、使用薬剤の自己負担額etc.は含まれません。制度が変わると、変更となります。)
  • 所要時間、自己負担額、結果説明までの時間は、各病院やクリニックの診療体制にもよります。

 

関連ページ: 循環器疾患診療    検査について
循環器疾患診療    不整脈について

 

房室ブロック 心電図検査所見で考えられる病気など

心臓の模型、ブロック

房室ブロックでは、以下の病気や、状態が考えられます。

  • 心筋梗塞
  • 薬剤によるもの
  • 神経反射
  • 高齢者
  • 健常者
  • etc.

心筋梗塞
心臓を栄養している動脈(冠動脈)が閉塞してしまう病気です。急性期の合併症として房室ブロックが生じる場合があります。急性期を脱しても回復せずに、心臓ペースメーカーが必要となる事もあります。

 

薬剤によるもの
房室伝導を抑制する薬剤(ジゴキシン、ベラパミル、ジルチアゼム、etc.)やβ遮断薬などの影響によって、房室ブロックとなる場合があります。薬剤の中止が検討されます。

 

神経反射
強い緊張や、腹痛などにより、迷走神経の強い緊張が生じると、房室ブロックを呈する場合があります。

 

高齢者
高齢者では加齢に伴い、房室結節の機能障害が生じ、房室ブロックとなる場合があります。

 

健常者
若年者やスポーツ選手に、房室ブロックを認める事があります。

 

ここからは、少し難しい話かもしれません。ご興味のある方は読み進めて下さいね。

 

房室ブロックは、心電図リズムやつながりの異常となります。

心臓は、右心房にある洞結節より生じた電気刺激が、房室結節を介して心室に伝わり、収縮します。

 

心房から心室に伝わるはずの、電気刺激の通りが悪かったり、切れてしまっていたりする状態を房室ブロックと呼びます。

 

 

1度房室ブロック

房室伝導の速度が遅れることにより、心電図上ではPQ(R)間隔が延長します。

 

心電図検査で、PQ(R)間隔 ≧ 0.20sec(5mm)となった場合、1度房室ブロックと呼びます。

 

加齢とともにPQ(R)間隔が延長する事があります。また2度房室ブロック、完全房室ブロックへ移行する事もあります。

 

2度房室ブロック(Wenckebach ウェンケバッハ)

Wenckebach(ウェンケバッハ)型2度房室ブロックでは、PQ(R)時間が次第に延長し、数拍おきにQRS波が出現しなくなり、長い休止期を示します。

 

休止期の間に、房室結節は回復する事が出来るため、休止期直後PQ(R)間隔は、その直前のPQ(R)間隔より短くなります。

 

このPQ(R)間隔の変動のため、R-R間隔は、次第に短縮されて長い休止期となる心電図所見を示します。

 

急性心筋梗塞時に生じる事が知られていますが、一過性の場合が多いとされます。

 

迷走神経の強い緊張のために生じる事もあります。比較的良性の不整脈とされています。

 

2度房室ブロック(Mobitz モビッツ)

Mobitz(モビッツ)型2度房室ブロックでは、PQ(R)間隔は一定のまま、突然QRS波が出現しなくなり、休止期となります。

 

休止期の前後でもPQ(R)間隔は一定を示します。R-R間隔も一定で、QRS波が出現しない場合、直前のR-R間隔の2倍の休止期となります。

 

広範な前壁中隔梗塞例でみられることがあります。自覚症状などによって、しばしば心臓ペースメーカー植え込みが必要となる場合があります。

 

2度房室ブロック(2:1)

2:1の2度房室ブロックでは、P波1拍おきに、QRS波が出現しなくなります(房室伝導比が2:1の状態)。

 

そのため、PQ(R)間隔が次第に延長するのか、一定なのか分からず、Wenckebach型か、Mobitz型かの判別が困難となります。

 

長時間心電図を追っていくと、判別可能となる事があります。自覚症状などによって、しばしば心臓ペースメーカー植え込みが必要となる場合があります。

 

完全房室ブロック

完全房室ブロックでは、P波とQRS波が全く別々のリズムとなります。そのため、PQ(R)間隔は一定せず、さまざまとなります。

 

洞調律例では、P波は洞調律のリズム、QRS波は房室接合部性、または心室性の補充調律となるため、P-P間隔は一定、R-R間隔も一定となりますが、P-P間隔とR-R間隔は全く異なった心電図を呈します。

 

心房細動例では、通常R-R間隔は不整となります。心房細動であるにも関わらず、R-R間隔が長く、一定のリズムを示す場合は、完全房室ブロックと診断されます。R-R間隔が一定ということは、QRS波が補充調律であることを示すからです。

 

完全房室ブロックでは心臓ペースメーカー植え込みが必要となる場合が多いです。

 

余談ですが、この完全房室ブロックの心電図と良く似た、房室解離という所見もあります。

 

房室解離は、心房と心室が異なったペースメーカーにより支配されている状態をいいます。心房は洞結節、心室は房室接合部中枢の支配を受ける場合が最も多いです。

 

完全房室ブロックも房室解離の一つですが、完全房室ブロックの場合は、心房興奮が心室に伝導できず、房室接合部以下から補充収縮がでるため、心房(P波)の興奮頻度 > 心室(QRS波形)の興奮頻度になります。

 

一方で、心房(P波)の興奮頻度 < 心室(QRS波形)の興奮頻度となる心電図が記録されることがあり、こちらは房室解離と診断します。

 

例えばですが、心房の電気刺激出現が遅くなった際、房室接合部の自動能の速さが、心房の速さを追い越してしまうと生じる現象です。

 

以上となります。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
 

心電図検査全般や、正常所見につきましては、関連ページをご参照ください。

心電図の成り立ち ~ 見方について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投稿者:医師、医学博士 吉川