低電位差の心電図異常って、何科で相談したらいいの?
2021年02月08日
下記関連ページの続きとして、本記事を記載致しました。ご興味のある方は、是非、最初から読んでみて下さいね。
関連ページ: | ・心電図の異常は、何科に行けばいいの? |
心電図異常 低電位差にて、クリニック受診前の確認項目
低電位差って何?大丈夫なの?とご心配の場合、循環器科、循環器内科を標榜するクリニックや病院での相談が推奨されます。
また、クリニックに所属する医師のプロフィールをチェックしてからの受診を、お勧めします。医師の得意としているジャンルを、知る事が出来るからです。
クリニックのホームページで、医師のプロフィールを確認する事ができます。ホームページのないクリニックでも、看板をみると、専門医などが掲示されている場合あります。
医師プロフィールに、下記表記されているかチェックしましょう。
- ●●循環器学会 専門医 / 認定医 / 所属
- ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
- ■■心臓病学会 専門医 / 認定医 / 所属
- ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
心臓病を得意とする先生の、診察を受けると、追加検査の計画や、結果による治療方針決定がスムーズとなります。
しかし、必ずしも全て解決する訳ではありません。より高度な医療機器を有していて、高度医療に対応可能な総合病院などへ、紹介受診が必要となる場合もあります。
経歴にこれらの表記がある医師は、専門ジャンルの病気に詳しいだけでなく、総合病院の専門の先生とコミュニケーションをとり、紹介受診がスムーズとなります。
クリニック受診前に、希望医師の診察予約が可能かどうか、電話されるとスムーズです。
関連ページ: | スタッフ紹介 |
低電位差 心電図異常で、考慮される追加精密検査
低電位差で、検討される外来精密検査は、以下となります。
- 安静心電図検査(あんせいしんでんずけんさ)
- 心臓超音波検査(しんぞうちょうおんぱけんさ)
- 血液検査(けつえきけんさ)
リストにある検査、全てが必要という訳ではありません。心臓を詳しく調べる精密検査は、他にも色々あります。
症状や、背景(年齢、生活習慣、持病、etc.)、医師の診察によって、必要とされる検査は変わります。
安静心電図検査
- 所要時間: 1分程度
- 自己負担額: 約130円 ~ 400円(自己負担割合によります)
すでに健康診断などでやったのに、もう一回?と思われるかもしれません。
異なるタイミングで行う事により、再現性の有無、前回検査からの変化をチェックします。検査当日に、結果説明が可能となります。
心臓超音波検査
- 所要時間: 20分程度
- 自己負担額: 約880円 ~ 2,800円(自己負担割合によります)
テレビCMの画面で、お腹にいる赤ちゃんを、お医者さんと妊婦さんが、超音波検査で確認している場面をご覧になったことがありますか?
同じように、超音波の原理を利用した機器を、左胸にあてると、心臓の筋肉の状態や、ポンプとしての機能、弁(心臓の血流を制御する構造)機能、etc.を、動画で確認する事が出来ます。
体に害がなく、安全に行う事が出来る検査です。所要時間は20分程度です。検査当日に、結果説明が可能です。
血液検査
- 所要時間: 3分程度
- 自己負担額: 約1,200 ~ 3,600円(自己負担割合によります)
採血した血液を調べます。電解質異常、甲状腺ホルモン分泌異常などで、不整脈がでやすくなる事があります。貧血などが原因で脈が速くなる事も知られています。
こういった項目を、採血血液検査で調べる事ができます。また、検査項目の中に、心臓への負担のかかり具合を、調べるものもあります。
結果説明まで、当日 ~ 1週間程度後と血液検査項目により幅があります。
補足
- 所要時間は、検査のみの時間となります。(ご説明、前後のお待ち頂く時間は含めません)
- 自己負担額は、検査のみの概算となります。(医師診察、使用薬剤の自己負担額etc.は含まれません。制度が変わると、変更となります。)
- 所要時間、自己負担額、結果説明までの時間は、各病院やクリニックの診療体制にもよります。
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低電位差 心電図所見から考えられる病気など
低電位差では、以下の病気や、状態が考えられます。
- アミロイドーシス
- 心嚢液貯留
- 甲状腺機能低下症
- 肥満
- 健常者
- etc.
・アミロイドーシス
アミロイドーシスとは、全身の様々な臓器に、アミロイドと呼ばれる異常蛋白質が沈着し、機能障害をおこす病気の総称です。心筋がアミロイドで置換されると、心電図にて低電位差を示す事があります。
・心嚢液貯留
心臓は通常、心膜と呼ばれる構造物に包まれています。心臓と心膜の間に存在する、潤滑油のような枠割を果たす液体を、心嚢液と呼びます。様々な理由で、心嚢液が貯まりすぎると、心電図が低電位差となる場合があります。
・甲状腺機能低下症
人の首あたりに、甲状腺という器官があり、甲状腺ホルモンが分泌されています。この甲状腺の働きが、低下すると低電位差を示す事が知られています。しかしその頻度は高くはありません。
・肥満
肥満の方に、心電図所見 低電位差を示す場合があります。
・健常者
基礎疾患を持たない方でも、心電図所見 低電位差を示すことがあります。
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低電位差の心電図所見について
低電位差は、心電図波形の異常となります。
肢誘導、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの全てにおいて、QRS波の総電位が5mm未満の時に、低電位差とされます。
胸部誘導全誘導、V1, V2, V3, V4, V5, V6において、QRS波の総電位が10mmの場合も、低電位差とされます。
心嚢液貯留や、心筋がアミロイド蛋白に置き換わってしまうアミロイドーシス、甲状腺機能低下症などがよく知られています。
心不全や低蛋白血症などにより、全身に浮腫みを来している場合も、皮膚の電気抵抗が高まり低電位差となります。
心筋梗塞などで、心臓の電気的刺激を発生させる力が、減少した場合にも認めることがあります。
以上となります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
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心電図検査全般や、正常所見につきましては、別ページをご参照ください。
投稿者:医師、医学博士 吉川