【WPW症候群 心電図波形異常】から考えられる外来精密検査
2021年02月04日
本記事は、下記関連ページの続きとして、記載しました。ご興味のある方は、是非、最初から読んでみて下さいね。
関連ページ: | ・心電図検査の異常は、何科に行けばいいの? |
WPW症候群 心電図波形異常で、クリニック受診前の確認項目
クリニックに所属する、医師のプロフィールをチェックしてからの、受診をお勧めします。医師の専門ジャンルを、知る事が出来るからです。
クリニックのホームページで、医師のプロフィールを確認する事ができます。ホームページのないクリニックでも、看板をみると、専門医などが掲示されている場合あります。
クリニック受診前に、希望医師の診察予約が可能かどうか、電話されるとスムーズです。
医師プロフィールに、下記表記されているかチェックしましょう。
- ■■不整脈(心電図)学会 専門医 / 認定医 / 所属
- ⇒ 心臓病の中でも、とくに不整脈を得意としている事を示しています。
- ●●循環器学会 専門医 / 認定医 / 所属 ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
- ▲▲心臓病学会 専門医 / 認定医 / 所属 ⇒ 心臓病を得意としている事を示しています。
不整脈を、得意とする先生の診察を受けると、精密検査の計画や、検査後の治療方針決定がスムーズとなります。
しかし、必ずしも、そこで全て解決する訳ではありません。より高度な医療機器を持っていて、高度医療に対応可能な総合病院などへ、紹介受診が必要となる場合もあります。
プロフィールに表記のある医師は、専門ジャンルの病気に詳しいだけでなく、総合病院の専門の先生とコミュニケーションをとり、紹介受診がスムーズとなります。
関連ページ: | スタッフ紹介 |
WPW症候群 心電図所見で、考慮される外来精密検査
WPW症候群で、考慮される外来精密検査は、以下となります。
- 安静心電図検査(あんせいしんでんずけんさ)
- ホルター心電図検査(ほるたーしんでんずけんさ)
- 心臓超音波検査(しんぞうちょうおんぱけんさ)
これらの検査、全てが必要という事ではありません。心臓を詳しく調べる精密検査は、他にも色々あります。
症状や、背景(年齢、生活習慣、持病、etc.)、医師の診察によって、推奨される検査は変わってきます。
安静心電図検査
- 所要時間: 1分程度
- 自己負担額: 約130円 ~ 400円(自己負担割合によります)
健診でやったのにもう一度?、、と思われるかもしれません。
異なるタイミングで行う事により、前回検査からの変化や、再現性の有無をチェックします。検査当日に、結果説明が可能となります。
ホルター心電図検査
- 所要時間: 1日程度
- 自己負担額: 約1,750円 ~ 5,400円(自己負担割合によります)
24時間(最低8時間以上)心電図を装着、記録します。装着中、激しい運動や、汗だくとなるようなお仕事は出来ません。
お風呂に関しては、湯舟につかるのは難しいですが、シャワーまでは可能な機種もあります。
脈が速くなりすぎていないか?、脈が遅くなりすぎていないか?、一日で不整脈がどれ位でているのか?、じつは危険な不整脈がでていないか?、波形が変化するのか?、etc.をチェックします。
24時間分を解析するため、検査機器のご返却後、結果説明まで2~3日かかります。
心臓超音波検査
- 所要時間: 20分程度
- 自己負担額: 約880円 ~ 2,800円(自己負担割合によります)
テレビCMで、お医者さんと妊婦さんが、お腹の赤ちゃんを、超音波検査で確認している場面をご覧になったことがありますか?
同じ原理の機器を左胸にあてることで、心臓の筋肉の状態や、ポンプとしての機能、弁(心臓の血流を制御する構造)機能、etc.を、動画で確認する事が出来ます。
体に害がなく、安全に行う事が出来る検査です。所要時間は20分程度です。検査当日に、結果説明が可能です。
補足
- 所要時間は、検査のおおよその時間となります。(ご説明、前後のお待ち頂く時間は含めません)
- 自己負担額は、検査のみの目安となります。(診察、お薬の自己負担額etc.は含まれません。制度変更に伴い、変わる事があります。)
- 所要時間、自己負担額、結果説明までの時間は、各病院やクリニックの診療体制にもよります。
関連ページ: | 循環器疾患診療 検査について |
循環器疾患診療 不整脈について |
WPW症候群 心電図異常で考えられる病気など
WPW症候群では、以下の病気や、状態が考えられます。
- エプスタイン奇形
- 健常者
- etc.
・エプスタイン奇形
右心房と右心室の間に位置する三尖弁の付け根が、右心室側に落ち込んでいる、先天性の心臓病です。WPW症候群の合併が多く、複数の副伝導路を有するケースなども報告されています。
・健常者
基礎心疾患を有さない場合が、多いとされています。
ここからは、少し難しい話かもしれません。ご興味のある方は読み進めて下さいね。
WPW症候群(Wolff-Parkinson-White Syndrome)は、心電図波形の異常となります。
WPW症候群では、心房と心室の間を結ぶ伝導路が、通常の房室結節以外にも存在します。
房室結節以外の伝導路は、異常な筋繊維束からなり、副伝導路と呼ばれます。副伝導路は、左心室自由壁、心室中隔後部、右心室自由壁や心室中隔前部etc.に存在します。
心房からの電気刺激が、副伝導路を通過し心室へと伝わります。そのため、心電図ではデルタ波や、PQ間隔の短縮を認めることが多いです。
心房からの電気刺激は、心室への副伝導路のみでなく、房室結節経由でも伝導されるため、QRS波形はデルタ波と、正常のQRS波が合わさった形になります。
WPW症候群では、副伝導路を有するがゆえに、頻脈発作を合併する場合があります。
心房→房室結節→心室→副伝導路→心房など、心房および心室を含めた、大きな電気刺激の頻回運動によるものは、発作性上室性頻拍(PSVT)と呼ばれます。
WPW症候群における心房細動・心房粗動では、心房の電気刺激が頻回となるため、副伝導路を介して、心房から心室への刺激が高頻度に伝わり、300回/分近くの非常に速い頻脈となってしまう場合もあります。
以上となります。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
心電図検査全般や、正常所見につきましては、関連ページをご参照ください。
投稿者:医師、医学博士 吉川